2016年4月18日月曜日

ポット苗の品質 ~矮化剤の効き過ぎと根詰まりポット苗からの脱却~

風の冷たい雨の日もありますが、柏の葉キャンパスではツバメの巣作りが始まりました。ヒバリやウグイス、キジの鳴き声を聞きながら仕事ができる良い季節になりました。

さて、新年度に入り、学内の講義や実習以外にも、学外で非常勤講師として園芸のお話をする機会が増えてきました。その中で、多い疑問や質問は・・・。
①購入した花壇苗が大きくならない。小さいままで、成長しない。ボリュームが出ない?
②自分で種子を播いて育てると、花屋さんで売っているような姿や形にならない?
③購入するポット苗の根をほぐしたら良いのか、悪いのか・・・?

これらの理由の多くは、植物成長調節剤(通称:矮化剤)の使用と販売されているポット苗の生育ステージが進みすぎ、根詰まりが原因ではないでしょうか。私がお話をしている消費者の多くは、花壇苗に植物成長調節剤(矮化剤)が使われていることを知りません。そのため、自身で播種した草花が伸び過ぎることをご自分の栽培管理(日当たり、施肥管理、灌水)のせいだと感じられているようです。自分の栽培が下手だからと・・・。
また、売られているポット苗の根鉢の扱いに困っているようです。根が詰まり過ぎているものをそのまま定植すると下のルピナスのように、雨が大量に降らない限り株元に毎日灌水をしなければなりません。水やりして世話するのが園芸だろっ!と怒られてしまうかもしれませんが、人々の生活はこればかりにかまっているほど暇ではありません。少なくとも園芸入門者にとっての障壁の一つと言えます。枯れたらなかなか同じ商品は買ってはもらえません。販売する側も花色が判別できるくらいのステージ(それほど根鉢がまわっていない状態)で出荷することはできないでしょうか?
花壇の土は湿っているのに水切れしているルピナス

植物成長調節剤(矮化剤)が効きすぎて、生育が遅く、気が付いたら他の植物に埋もれてしまったり、矮化剤が切れて急に成長し出したり、根鉢がまわって灌水の手間ばかりかかったり・・・。もう少し、消費者に分かりやすい商品説明と商品形態の提案が必要ではないでしょうか? 

このようなことを商品を見ながら小売店できちんと説明してくれないなら、生産者が直接、品種の特徴ばかりを明記するのではなく、消費者の立場に立って品質やその後の栽培管理情報を分かりやすく示すしかないですね。

「今日は良い肉が入ったよ~!」という情報を提供してくれるようなお肉屋さんのように、「今日は良い○○(花の名前)があるよ~!」という情報が得られる花屋さんや生産者、ここに来れば安心という花屋さんや生産者が身近にあると消費者はどれほど心強いことでしょう。

ちなみに昨年度、根詰まりしたパンジーのポット苗をただポットから苗を抜いて定植(下画像左)、根鉢を1/3ほど崩して(根をちぎって)鉢に植え付けて比較しました(下画像右)。植物によっても違いますが、パンジーの場合は根鉢を崩した方がその後の生育や花着きは良くなります。
花の消費拡大なんて大それたことは言いませんが、園芸入門者・園芸初心者にも分かりやすい商品情報の提供が必要なことは間違いありません。


(渡辺 均)

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